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京都館

京都の隠れ里「ゆずの里」再発見シリーズ①
ゆず栽培発祥の地「水尾の里」を巡る旅

11月〜12月は「ゆず」が旬を迎える季節!

爽やかな風味、鮮やかな黄色い容姿、小柄でまん丸いフォルム。料理のジャンルを選ばず活躍してくれる冬の果物ですが、国内のゆず栽培発祥の地が京都にあることをご存知ですか?

舞台は、京都市右京区の山間に佇む秘境「水尾(みずお)」。鎌倉時代の天皇がこの地にゆずを植えたのが始まりとされ、かつては「日本のゆずといえば水尾」と称されるほどでした。現在は高級食材として、京都の日本料亭や和菓子屋で重宝されています。

 

今回、そんな水尾と出会えるイベントをご紹介!

2018年12月から、東京都内で開催される『水尾の里〜ゆずの香りフェア〜』。水尾のゆずを使ったお漬物、ゆずサイダー、ゆずのホットワイン、すき焼き特別メニューなど、期間限定の商品が提供されます。

会場となるのは、都内15カ所。「西利」、「かつくら」、「モリタ屋」の各店舗をはじめ、東京日本橋「Hama House」などで開催。また、期間中には、水尾のゆずについて語るトークセッションも行われます。

今回のイベントは、新しい京都館の可能性を探る『京都館プロジェクト2020』の一環として開催。東京にいながら、水尾の味覚を体験する&手に入れるチャンスです!

とはいっても、水尾ってどんな場所なのか想像がつかないですよね。水尾のゆずが他の生産地とどのように違うのか、気になる方もいると思います。

そこで、みなさんの疑問に応えるべく水尾を徹底リポート!『京都の隠れ里「ゆずの里」再発見シリーズ』と題して、全3回の特集記事をお届けします。京都の秘境とも呼ばれる水尾の里、そして、水尾のゆずの魅力を巡る旅に出かけましょう!

京都の北西、ひっそり佇む水尾の里

京都市右京区の北西部に位置する水尾。観光スポットとして有名な嵐山の左上、ハイキングコースで知られる愛宕山の麓に佇んでいます。

最寄駅は、秘境駅としても知られるJR山陰本線「保津峡駅」。自治会が運行しているバスに乗って10分ほどで到着。または、保津峡駅を出発点に、約1時間のハイキングコースを通ることもできます。

自治会のバスは1日5往復しています。

 

まずは水尾の特徴について、簡単にご紹介しましょう。
ポイントは大きく分けて4つあります。

・香り高いゆずと手づくり加工食品
・冬の風物詩「ゆず風呂」と「鶏鍋」が名物
・清和天皇ゆかりの地、京都と丹波を結ぶ交通の要所
・秋の七草「フジバカマ(藤袴)」と渡り蝶「アサギマダラ」の風景

水尾はゆずの生産地として有名ですが、京都と丹波を結ぶ中継地としての歴史もあります。また、休耕田を活用したフジバカマ畑も見どころ。9月下旬〜10月上旬には、「水尾フジバカマ鑑賞会」も開催しています。

淡い紫色のフジバカマに、可憐なアサギマダラが舞う景色は幻想的。

 

今回、水尾のガイドをお願いしたのは、松尾 史弘さん(以下:松尾会長)。水尾特産品加工組合・柚子風呂振興連絡会の会長さんで、ゆずを栽培する農家さんの一人です。松尾会長の案内のもと、水尾の里を巡る旅に出発しましょう!

松尾会長が見せてくれた、水尾の上空写真。山々に囲まれている水尾集落の様子が確認できます。

香り高く、味わい深い、希少な実生栽培のゆず

日本のゆず栽培発祥の地である水尾。江戸時代には京の都に欠かせない食材として重宝され、昭和40年代には改めて「ゆずの里」として知られるようになりました。

今では高知県や埼玉県もゆずの産地として有名ですが、それよりもずっと昔から栽培がされていたことや京都の食文化と密接に関わってきたことが、他の生産地としての大きな違い。実際、冬の京料理には水尾のゆずが添えられることが多いそうです。

毎年、5月〜6月に白い花が咲き、夏頃から実が成り始め、収穫時期は11月〜12月にかけて。各家の軒先には箱からあふれんばりのゆずが収穫され、里全体が爽やかな香りに包まれます。

ところで、ゆずには2種類の栽培方法があるって知っていましたか?

・接ぎ木栽培
カラタチという木にゆずの枝をくくりつけて育てる方法。一般に出回っているのは接ぎ木栽培のものです。成長が早く、4〜5年の短期間で収穫できます。

・実生栽培
ゆずの木を種から育てる方法。収穫できるようになるまで、なんと15〜18年もの歳月がかかります。一般に出回ることはほとんどなく、実生(みしょう)栽培のものはとても希少です。

水尾のゆずは、主に後者の実生栽培。「標高250m〜270mの寒冷な気候と愛宕山からの伏流水に恵まれ、香りが高く、味も濃く、果実が大きいゆずが育ちます」と松尾会長。

確かに、ゆず畑に案内してもらう途中、綺麗な小川を見かけました。水尾のゆずは、ずっと昔から大切に守られてきた実生の木と豊かな環境によって育まれていたんですね。

心も体もほっこり、冬の水尾に里帰り

静かな自然のなかで、ゆっくりと過ごしたいなぁ。

そんな、日頃の疲れを癒したいと思っている方にも、水尾は最適の場所です。10月下旬から4月頃にかけて、ゆず農家さんの自宅で「ゆず風呂」と「鶏鍋(鶏すき または 水炊き)」のおもてなしを受けられます。

もともとは、村おこしの一環として昭和30年代にスタート。現在は、松尾会長のご自宅『山重(やまじゅう)』を含む、9件で旅人の受け入れを行なっています(要予約・宿泊不可 )。

松尾会長のご自宅までの道のりにも、数件の民家を見かけました。

実際、どんな内容なの?と疑問に思われる方も多いでしょう。
基本的には、午前中に水尾を訪れ、ゆず風呂に浸かり、鶏鍋をいただき、夕方頃までゆっくりと里山のひと時を過ごすという流れ。なんとも贅沢な時間です。

ゆずが浮かべられた湯船でほっこり。冬至にゆず風呂に入ると、1年間は病気知らずとも言われています。

 

「鶏すき」は大根おろしにゆずを添えて、「水炊き」はだし醤油に柚子果汁を贅沢に絞って。地鶏と自家栽培のお野菜とともにいただきます。

半年前から予約している常連客もいて、最盛期には満員になることもあるのだとか。関西圏内はもちろん、東京や名古屋、海外からはシンガポール、香港の利用客もいるそうです。

みんな、水尾のどこに惹かれて訪れるのでしょうか?

松尾会長に尋ねてみると、「毎年のように利用してくれる友人から、落ち着くというか、どこか、懐かしい気持ちになると聞いたことがあります。地元に住んでいる者としてはあまり実感できないですが、都会の喧騒から離れ、穏やかな時間を過ごすにはちょうどいいところなんやろうね」と語ります。

ゆず風呂と鶏鍋、そして、豊かな里山の風景に、身体の芯からほっこりと。日常を離れ、日々の疲れを癒しに、あなたも水尾に里帰りしてみてはいかがでしょうか。

 

水尾を愛した清和天皇の歴史

「水尾の里を終焉の地にしたい」

この言葉を残したと伝えられているのが、第56代「清和天皇」。平安時代前期の天皇で、水尾の氏神様として「清和天皇社」に祀られています。

清和天皇は、わずか9歳で即位し、成人後は政治がらみの折衝に苦労。30歳のときに出家して、仏道修行の際に訪れたのが水尾の里でした。

この地で生涯を終えたいとまで言い残した、清和天皇。豊かな自然に囲まれ、外界のしがらみとは無縁だった里の景色は、ほっと肩の力を抜ける場所だったのかもしれません。

清和天皇は、31歳という若さで崩御。遺言によって、水尾山上に葬られました(現在の「清和天皇水尾山陵」)。里人の信仰を集め、1100年以上経った今もこの里を見守り続けています。

交通の要所として栄えた、水尾の過去と現在

水尾を語る上で外せないのが、平安時代から交通の要所として栄えていた歴史。その昔、丹波から京の都に行く道は、南の「老ノ坂峠」と水尾を通る「米買い道」しかなく、たくさんの人たちが行き交っていました。

沿道には茶屋や宿、お土産物屋なども立ち並び、戸数100戸以上、人口1,000人以上になる時代もあったのだとか。また、かつては貴族が隠居する場所でもあり、伝奇物語『宇津保物語』には、水尾の暮らしぶりが詳しく描かれています。

しかし、現在の人口は25世帯44人まで減少。このままでは地域の状態を維持するのが難しくなり、実生ゆずを守る人もいなくなってしまいます。

水尾の現状を象徴する、特別養護老人ホームだった空き家。
推定樹齢200歳の実生の木。「幼い頃からある、この実生ゆずの木を大切に守っていきたい」と松尾会長。

 そのなかでも、水尾を巡ってみて感じたのは、秘められたポテンシャルの高さ。例えば、休校となっている「水尾小学校」を活用して、嵯峨美術大学のサークルが定期的に活動しているそうです。また、校舎の屋上からは、里の風景を見渡すこともできます

山々に囲まれ、鳥、風、水の音が響く最高のロケーション。空が大きく開けているので、「星空キャンプなんて出来たらおもしろそう」といった声も挙がりました。水尾をじっくりと見てみれば、光る原石がいろんな場所に埋まっていそうです。

優しく絞ったゆず果汁でつくる、愛情こもった水尾の味覚

最後にご紹介するのは、水尾で生産されている加工食品!

ゆずはいろんなお料理に活用できますが、どうしても冷蔵庫で余らせてしまいがち。そんなときには、ジャムやポン酢など、ゆずの魅力を最大限に引き立てた加工食品があると便利ですよね。

水尾では、希少な実生ゆずを贅沢に使用!
バリエーション豊かな商品がつくられている、「水尾特産品加工組合」の作業場を覗いてみました。

作業場では、地元のお母さんたちが調理中。「ゆず大根」や「ゆずポン酢」「ゆず塩」「ゆずのマーマレード」など、翌日のお祭りで販売する加工食品をつくっていました。全て手づくりのため、大量に生産することはできません。でも、一つひとつにお母さんたちの愛情がこめられています。

2〜3日漬けた「ゆず大根」は、ゆずの爽やかな香りの後に大根の甘みが追いかけてきます。いくらでも食べられそう!
個人的にも購入した「ゆずポン酢」。水で薄めていないため、深いコクと芳醇な香りが濃縮されています。

 

果皮と砂糖をくたくたに煮る「ゆず皮の甘煮」。果実がしっかりしている実生ゆずだけの加工食品。物販店でも数量限定のレア商品です。
松尾会長曰く、一番贅沢な商品が「柚子しぼり(果汁)」。7〜9個の実生ゆずを絞った果汁100%!お水や炭酸と割るなど、幅広く活用できます。

 また、加工食品の多くは、ゆずの絞り果汁を使っています。どのように絞っているのか尋ねると、見せていただいたのが専用の機械。特別にゆず絞りを体験させてもらいました!

専用のゆず絞り機。ハンドルを両手で持って、片足をペダルに乗せます。
背面にある2本のでっぱりを押し当てることで、果実がぱっくりと割れてくれます。

 

片足に力を入れて、ぎゅーっと、押し当てていきます。
種と果汁は別々に分かれるようになっています。便利!

 絞るときのポイントは優しさ。「力任せに絞りきってしまうと、どうしても風味が損なわれ、雑味が出やすくなってしまう」と松尾会長。手間と時間がかかってもあえて手動で絞るのは、実生ゆずの美味しさを届けたいという想いが込められているんですね。

今回、松尾会長に案内してもらい、水尾をぐるっと一周しました。接ぎ木栽培と実生栽培の違いを教わり、水尾を愛した清和天皇の歴史や人口減少の課題に触れ、そして、実生ゆずの風味豊かな味わいに感動。たっぷりと水尾の魅力に触れられた時間でした。

ゆず風呂と鶏鍋を味わい、静寂に包まれた里山でほっこりとしたひと時を過ごすために。あなたも、水尾の里を訪ねてみてはいかがでしょうか。

東京「水尾の里〜ゆずの香りフェア〜」開催!


2018年12月から、東京都内の15カ所で幕を上げる『水尾の里〜ゆずの香りフェア〜』。今回、『京都館プロジェクト2020』の一環として開催されます。

京都館のれん分け店舗である「西利」、「かつくら」、「モリタ屋」をはじめ、東京日本橋「Hama House」などで、水尾産ゆずの出張PRを行います。特別メニューの提供や店舗によっては加工食品も販売。東京だからこそ味わえる、水尾のゆずに出会ってみませんか?

◆イベント詳細

京つけもの西利 東京コレド室町店
会期:12月11日~12月22日
場所:〒103-0022東京都中央区日本橋室町2丁目2-1 COREDO室町1 1F
取組内容:京つけもの「ゆずの香り」を限定販売

名代とんかつ かつくら
会期:12月1日~
場所:首都圏の10店舗
取組内容:水尾産ゆずを使った「ゆずサイダー」の提供

モリタ屋 東京丸の内店
会期:12月1日~12月31日
場所:〒100-6335東京都千代田区丸の内2丁目4-1 丸ビル35階
取組内容:特別メニュー「京都水尾の柚子とくも子の釜蒸し(極みコースの一品)」の提供

Hama house
会期:12月6日~12月23日
場所:〒103-000 東京都中央区日本橋浜町3-10-6
取組内容:特別メニューとして「ゆず茶」、「ゆずのチーズケーキ」を提供

Marunouchi Happ
会期:12月6日〜1月中旬
場所:〒100-0005 東京都千代田区丸の内2丁目5(Marunouchi Happ)
取組内容:特別メニューとして「ゆず茶」、「ホットワインゆずの香り」を提供

cafe M/N
会期:12月6日~1月中旬
場所:〒111-0032 東京都台東区浅草2-6-7まるごとにっぽん3階
取組内容:特別メニューとして「ゆず茶」、「ゆずのシフォンケーキ」を提供