京都ナポリタンリップ

喫茶文化を象徴するフード、ナポリタン。
ナポリタンを提供する京都の喫茶店にインタビューします。
味のこだわりやその店の歴史、
京都のお昼の参考になるような情報をお届けします。
たぶん、読み終えたらナポリタンの口になるはず。

ナポリタンリップ#6京都「喫茶マドラグ」帰ってきたくなる喫茶店で味わう鉄板ナポリタン

喫茶マドラグは、鉄板で提供される熱々のナポリタンと、分厚い卵サンドで知られる喫茶店です。
香り高いケチャップソースに加え、なんといっても最大の特徴は半熟卵を敷いた鉄板で提供されるスタイル。
今回は、この鉄板ナポリタンが生まれたきっかけやお店の名前の由来について、お話を伺いました。
―お店の名前「マドラグ」の由来を教えてください。
「マドラグ」というのはフランス南部の地名なんです。初代オーナー(現社長の奥さん)が、女優ブリジット・バルドーをすごく好きで、彼女の別荘がその地にありました。バルドー自身も「マドラグに帰りたい」と言うほど大切にしていた場所なんです。お客さんにもそんなふうに、「帰ってきたい」と思ってもらえる喫茶にしたいという思いで名付けました。
―ナポリタンの具材について教えてください。
具はシンプルにロースハム・玉ねぎ・ピーマンです。味付けはケチャップがベースで、仕上げにバターと少しの昆布だしを加えてまろやかにしています。
―提供スタイルにも特徴がありますよね?
はい。鉄板に卵を敷いて、その上にパスタを盛り付けています。卵は最初はとろりと半熟で、麺と絡めるとまろやかな味わいに。さらに食べ進めるうちに鉄板の熱で少しずつ火が通り、オムナポリタンのような食感へと変化していきます。ひと皿の中で違った味わいを楽しめるのが魅力です。
オーナーが三重県出身で、そちらの喫茶店ではよくあるスタイルなんです。細麺の乾麺をアルデンテに茹でて、鉄板の余熱で最後まで熱々を楽しめるようにしています。
―ナポリタンには細麺を使われていますよね。その理由や茹で加減へのこだわりを教えてください。
特に大きな理由はないんです。ただ、姉妹店では太めの生麺を使っています。百貨店の中にあるので、できるだけスピーディーに提供できるように、茹で時間の短い生麺を選んでいるんですね。一方こちらでは細麺の乾麺を使用していて、茹で時間は少しかかりますが、その分しっかりアルデンテに仕上げられます。熱々の鉄板にのせることで、最後まで美味しく食べていただけるようにしています。
―ケチャップ味のほか、“鉄板カレーナポリタン” もありますが、どのような発想から作られ ましたか?
“カレーをかけてみたら美味しかった” というのが始まりです。想像していただく通り、ナポリタンの上に自家製カレーをかけただけなんですが好評で定番メニューになりました。
―ナポリタンの他の名物の卵サンドはコロナのレシピを受け継いでいるとか。
そうなんです。最初はやっていなかったんですが、フリーペーパーの企画で「閉店した名店の味を再現する」という企画があって、その時にコロナさんの卵サンドを再現してほしいと依頼されました。マスターに直接来ていただいて教わったんです。企画が終わった後も「続けてほしい」という声が多かったので、正式にメニューに加えることになりました。
―内装もレトロな雰囲気がありますね。
もともとは「セブン」という喫茶店だった場所なんです。マスターが亡くなられて店が閉まったんですが、その雰囲気を残したいと思って引き継ぎました。傷んでいた部分は直しましたが、基本は当時の空気感を大切にしています。
―来店されるお客さんはどんな層が多いですか?
本当に幅広いですね。学生さんや家族連れ、ご年配の方、観光のお客様も多いです。最近は周辺にホテルが増えたこともあって、海外からのお客様も増えました。サンドイッチとナポリタンを一緒に頼む方も多く、喫茶店らしい「生活の止まり木」のような存在になれていると思います。
インタビュアーによる味の感想
バターや昆布だしが加わることで味わいにまろやかさと深みがあり、とても食べやすかったです。鉄板の上に敷かれた卵が麺と絡むことで一層まろやかさが広がり、食べ進めるうちに卵に火が通ってオムナポリタンのように変化していきます。ボリュームたっぷりなのに重さを感じず、気づけばあっという間に食べきってしまうナポリタンでした。
今日のリップ
住所:〒604-0035 京都府京都市中京区上松屋町706-5
営業時間:8:00 ~ 18:00(ラストオーダー お食事 17:00・ドリンク 17:30)
定休日:不定休
アクセス:地下鉄烏丸線「烏丸御池」より徒歩9分
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