
今夜は、前回のBAR文久でスタッフのマキさんに教えていただいた「雪月花+SALON」へと向かいます。いざお店の前に到着すると、そこは三条通りと富小路通りとが交わる角の建物。この通りは昼間によく通っている場所で、こんなところにBARがあったのかと驚きました。
足元に置かれた灯篭に「雪月花」の文字が浮かんでいます。ゆっくりと開く自動ドアの先へと進むと、奥へ長く続く、うす暗い廊下にまた驚かされます。緊張しながら一歩ずつ進んでいきました。
雪月花の店内にはそれぞれ「雪」・「月」・「花」をコンセプトとした三つの部屋、加えてSALONという広々とした空間があります。今回は1階の奥にある「月」の部屋へと案内されました。長いバーカウンターに一人がけの深めのソファ、うっとり大人な気分です。頭上を見上げると月の形をした花器があり、そこにはお花が生けられていました。
メニューは数多くあり、迷いに迷ってチョコミントの風味がするらしい 「グラスホッパー」を注文。これまで飲んだことのないカクテルですが、チョコミントなら間違いないはず。カウンターの向こう側でカクテルを作るバーテンダーの後藤さんの手つきに思わず見入ってしまいます。この「月」という部屋は、バーテンダーがお酒を作る時にグラスが置かれる場所へちょうどスポットライトが当たるような照明になっており、さながら後藤さんが主役のステージのようでした。
あっという間にグラスホッパーが出てきて、そのあまりの美しさに息を呑みました。青みがかった翡翠色のとろりとした液体を引き立たせる透き通ったグラス。このまま飲まずに飾っておきたいほど綺麗です。グラスを口元へやると、ミントとカカオが香り立ちます。一口飲んでみると甘くなめらかな流体が口内を撫で、ピリリとした刺激を舌に残してゆきます。
完全自家製のオリジナルチョコプレートもいただきました。ドライフルーツ入りや生チョコといったベーシックなものから、酒粕&みりん、干し芋など珍しい味のものまで、多彩な特色のあるチョコレートたちによって構成された心踊る一皿です。季節によって変わるさまざまなボンボンショコラの用意があるそう。このプレートを味わうために季節ごとに訪れたくなります。
2杯目はBOBBY’Sジンの「ジントニック」をいただきました。青色のシロップと浮かんだレモンピールの黄色が浜辺の爽やかな風を思わせます。ジンのフレーバーがレモングラスなので、スッキリとした後味です。
3杯目は果肉を使ったスイカの「ソルティドッグ」を。真っ赤なスイカの色と青い香り。やはりフルーツの新鮮さがフルーツカクテルの肝だと思います。
月の形の花器に生けられているのは京都の老舗花店「花政」のお花だそうです。また、「月」の部屋を出て右手にある坪庭にもお花が生けられており、こちらの花器は”備前焼の”隠崎隆一さんの作品。
地下にある「花」の部屋は手すきの和紙作家 堀木エリコさんの作品があり、「雪」は個室。全ての部屋を制覇してみたくなります。
エントランスの長く続く廊下は、「お客様が建物に入った時、この先何があるのか?とドキドキワクワクして欲しい」と考えて設えられたそうで、私はまんまとその術中に嵌っていました。非日常を味わうための工夫が尽くされています。
SALONの中も見せていただきました。大正時代に建てられた元銀行時の柱をそのまま残してあり、調度品もアンティークのものを揃えてあります。SALONスペースはシガーバーで、葉巻が吸えるBARであることも特徴です。このSALONで葉巻をくゆらせながら過ごす時間を想像しました。私にもいつかそんな日が来るのでしょうか…。
住所:〒604-8083 京都府京都市中京区三条通富小路西入中之町20-20 SACRAビル
営業時間:19:00 ~ 2:00
定休日:月曜日
アクセス:地下鉄「烏丸御池駅」から徒歩5分ほど/地下鉄東西線「京都市役所前駅」から徒歩3分ほど
京都河原町「雪月花+SALON」