
時刻は22時。昼間はすでに梅雨のように蒸し暑かったこの日も、この時間になると季節が戻ったように肌寒さが戻る夜道を歩きながら、本日の待ち合わせのBARに向かいます。
場所は二条駅から徒歩3分、暗闇の中に静かにこぼれる光と「BAR サマータイヨウ」とハツラツに並ぶ文字を見つけ出すのはどんな待ち合わせよりも簡単なはず。階段を3階まで上がり、木の扉を少し緊張しながら開けると途端、いい音で流れるおしゃれな音楽がお部屋から溢れて一気に別世界に引き込まれます。
5席のカウンターと二つのテーブル席、小さな店内の端でお酒を作る大柄のマスター(188㎝)に迎えられてカウンターの端に着席。今日はこのお店ができた当初から通っているという食通、酒通の大人の方の導きでこのBARに辿り着きました。先に到着されていてすでにほろ酔いの大人に追いつくべく、今日の1杯目はジントニックにしてみます。カウンターの正面は千本通りに面した大きな窓があり、その前にウイスキーやジンなどのお酒が並べられています。
いい音楽に静かな夜の街とずらりと列を作るお酒の景色をみていると、なんだかそれだけでちょっとかっこいい大人になった気分……。そんな優越感に浸っていると早速目の前にジントニックが。独特の苦味と甘さが背伸びしたい今の私にぴったりです。
常連さんで賑わう店内、実はこの二条駅周辺はゆったり集えるこんなBARが少ないそうで、お客さんのほとんどがご近所さん。このあたりに最近引っ越してきた私もこの街は眠るのが早いな〜と思っていました。しっかり眠る街。そんな中BAR サマータイヨウは2時までの営業です。「明日仕事やしもう一杯飲みたいけど帰るわ」と言っていたお隣のお客さんが、マスターと話すうちに気がつくと「もう一杯だけ……。」と笑うやりとりに関係ない私まで嬉しい気持ちに。
お酒を飲んでいると何故かその場にいる、見ず知らずの人たちが仲間のように思えるのが不思議です。マスターの山田さんがこのお店を始めたのは13年前。古着屋さんをしていた時、帆布や革製品を扱うお店をしていた時、といろいろやりながら「BAR サマータイヨウ」に辿り着いたそうです。なんとバンドマンというもう一つの顔をもつ山田さん。ベーシストです、かっこいい。近くのライブハウスでライブをしてからお店を開ける日もあるらしくこんな生き方憧れちゃうな、と夢中でお話を聞いてしまいます。
2杯目にはサマータイヨウのスペシャルドリンクがあるらしい!と聞いて頼んでみました。その名も“おひさんミルクインディア”。スパイスや生姜、ラムが入ったチャイ風味のカクテルなのですが、普段甘いお酒をあまり飲まない私も絶妙なアルコール感とスパイスのバランスに驚きました。ちびちび飲むのに最適です。
きっとマスターのこだわりが詰まった豊富なカクテルメニューの中からお気に入りの一つが見つけられるはず。私はすでに次回飲んでみたいカクテルまで決めています。
深夜遅くまで地元の人たちの居場所として暖かな場を提供してくれるBAR サマータイヨウで、帰りたくない気持ちをなかなか手放せない私はこの日も美味しいお酒をたくさん全身に巡らせて帰路につきました。
街には街のいろんな形の拠り所があり、そんな中でもまだ明日を迎えたくない私たちを受け入れてくれる小さなBARは、数時間後にやってくる次の1日への活力にもなってくれるようです。居心地抜群、飲み過ぎ注意のBAR サマータイヨウでローカルなBARの魅力に浴びせられた夜でした。
住所:京都市中京区西ノ京職司町19−3 二条ビル3F
営業時間:20:00~2:00
定休日:日曜日
アクセス:二条駅東口徒歩3分
左京区元田中「サロンド毘沙門」