京都ナポリタンリップ

喫茶文化を象徴するフード、ナポリタン。
ナポリタンを提供する京都の喫茶店にインタビューします。
味のこだわりやその店の歴史、
京都のお昼の参考になるような情報をお届けします。
たぶん、読み終えたらナポリタンの口になるはず。

ナポリタンリップ#5「喫茶ジラフ」京都中京区の細い階段をのぼって見つけたクリーミーなナポリタン

ジラフのナポリタン / ¥900
#5ともなってくると「ナポリタンに自分は詳しいぞ」という気持ちになってきます。しかし、ここのナポリタンはまた一味も二味も違い、自分のナポリタンに対する理解はまだまだだったことを痛感しました。
店の雰囲気や天気で変わる BGM を背景に、沢山のこだわりがつまったナポリタンについて伺いました。
―具材は何を使っていますか?
にんにくとベーコンと玉ねぎと赤・黄色・緑のパプリカを使っています。
ピーマンよりもパプリカの方が甘みがあるので、僕はそっちにしています。
―作り方のこだわりはありますか?
僕の作ってるナポリタンってあんまりみなさんが思ってはるのじゃないんで。多分基本的にその場で炒めて作ってると思うんですけど、僕一回炊いてるんで、具材を。 にんにくを油で炒めて、玉ねぎ・ベーコン・3 種類のパプリカを入れてある程度炒めると、一回赤ワインで 2 時間~ 3 時間ぐらい炊くんですよ。そこに生クリームを加えて水分をある程度飛ばして、更にケチャップとトマトホール缶入れて作ってます。
―元々ナポリタンがお好きだったのでしょうか?
いえ、昔『sarasa』っていうカフェで働いていた時に、なんか店でナポリタンコンテストみたいなんを大阪ドームでやる企画が上がって。その時に、一緒になって仲間と作ったやつなんですけど、こんなんなら美味しいよねーみたいな。 その時のレシピをそのまま使ってます。レシピ持ってるのは僕ともう 1 人だけかな。三条にある『ローヌ』っていうフレンチのお店が僕の先輩がやってらっしゃるお店で、その方と僕しか持ってないです。
―細麺が特徴ですが、理由はありますか?
なんか面白くないなと思って。みんなと一緒な事やるの嫌いなんで。ナポリタンはジャンル的に多分スパゲッティなんですけど。僕はスパゲッティというパスタを作っている感覚。イタリアンとかレストランで出てきてもおかしくないような物を安価で作れたら楽し いよねっていう。で、それが喫茶店で食べれたら美味しいやんみたいな。
―麺の茹で加減のこだわりも教えてください。
硬めにはしています。一晩寝かせるとかもせず、オーダーが通るたびに茹でてます。仕込んでた煮込まれてるやつだけ先に作って、使う時に出すんですけど、料理って 1 日おくと塩が抜けると言って味が抜けちゃうんですよ。一回出して味見てちょっと再構成して。 パンクせずに僕 1 人で出来て、お客さんに美味しい物を食べてもらうには、その方法がベストかなーみたいな。毎回茹でてます。めちゃくちゃめんどくさいです。(笑)
―料理に関して色々なこだわりがあると思うのですが、一番大切にしていることはなんですか?
自分が作ってて面白いか、面白くないかです。面白くなくなったら多分やめるんで、このメニューを。 自分が作ってて面白いなーって思えるものをずっと作っていたいんで。
―今のナポリタンを面白いと思う部分は何ですか?
他の店と違うところっていうのが面白いかなって。うちでしか食べれへんでって思うのが面白いなって。同じようなことを周りがやり出したらまた別のことを作り出すし。 味云々じゃなくて、面白いか面白くないか。作ってて楽しいか、楽しくないか。
―このお店って出来て結構新しいですよね?
4 年ぐらいです。その前までずっと 20 年か 30 年くらい【回廊】さんという方がやってらっしゃって、コロナの時にしんどくならはって、うちのオーナーが変わっ て 、「 引き継ぐしやらせてもらえませんか?」って言い出して。 その時と同じ内装ですね。何も変わってないです。(変わったのは)絵くらい。椅子も机もソファもメニューブックも。だから、もうボロボロで…。
―全ての根底は面白いかどうかなんですか?
とにかく面白いことしたいんですよ。でも面白いことしたいからって一つのメニューにいっぱい物使っちゃうと、どんどん値段が上がってくじゃないですか。お客さんから取る値段も上げてかないといけないけど、それは僕がやりたいことじゃないし。いかに簡単に家でも手に入る食材で、安くて、僕が面白く美味しく作れるか。値段が安く済むし、面白いし、お客さんも安く済むしどっちもいいじゃんって。どっちも面白いじゃんって。面白くないと仕事なんてやってらんないんで。
―最後に、カトラリーを交差にして置かれていることに理由はありますか?
あれ、僕がやってるわけじゃないんですよ。うちのバイトが勝手にやり始めて。僕は重ねておくタイプなんですけど、うちのバイトが「なんかカチャカチャするから」って突然。そこは別にこだわりないです。 僕の目の前で直してるのはみたことあります。 持って行ってと頼んだら、渋い顔で直しながら持っていってるのは何回かみたことあります。
インタビュアーによる味の感想
料理が運ばれてきた瞬間、香りから通常のナポリタンとは違うことが分かりました。 通常のナポリタンの味を想像しながら口に運んだナポリタンは、トマトの酸味が控えめなクリーミーでどこか甘みがあり、他との違いを明確に感じました。 まろやかなソースとその上にかかる黒コショウのピリッとした風味がとても相性がよく、最後まで新鮮な気持ちで味わえました。
住所:〒604-8042 京都府京都市中京区中之町 583-10 メインビル2F
営業時間:10:00 ~ 20:00
定休日:火曜日
アクセス:京都河原町駅から約2分
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