

12月も半ばです。ぼーっとしているうちにすっかり年末ももう目と鼻の先。永遠にも思えた長い夏を鬱々と過ごし、冬を待ち遠しくしていた私は10月ごろからできるだけ薄着をして早めに寒さを満喫するようにしていましたが、ようやく毛糸を身につけ始めました(しぶしぶ)。京都の冬の冷たさは最高です。
さて、このごろのお酒と私との関係といえば、距離を置いてみたり、みなかったり、と悶々とした間柄だったのですが、これを書かなきゃいけないんだった、と運良くいい口実を見つけてまた素敵なお店に出会えたささやかな報告です。
夕方7時ごろ、京阪の神宮丸田町駅で降りて冷たい風に顔を刺されながら向かったのは「BAR_BAGLIORE(バールバリオーレ)」。駅からは徒歩2分ほどで到着しました。格好のよい木の枝を光らせる灯りを目印に、地下のお店に繋がる階段を降りるとずっしり重たい扉に出会います。

アーチ型の高い天井に、楕円のカウンター席が主役になった店内はなんだか時間が止まったような、知らない世界に迷い込んだような感覚を覚えさせます。最近読んだSF小説に火星人がBARでお酒を飲むシーンがありましたが、ちょうどこんなお店だろうなと確信するような。地上から見ていても少し変わった雰囲気の建物ですが、中は一層魅力的で贅沢な空間が広がっていました。女性の店主さんがお一人でやられていることもその世界観を作りだす一助となっているのかもしれません。
表の黒板に「ワインと熱燗」と書いてあったのを見ていたので、白ワインと軽い食事のメニューを頼みます。注文したのは「むちむち蒸し春巻き」。焼きでもなく、生でもない、新しい春巻きへの期待が高まる中、ワインを三種ほど説明していただきました。

ソムリエの方に会うといつも感激してしまうのが、味を説明する語彙の豊富さです。どれだけすばらしいものを口にいれても、それしか知らないみたいに「おいしい」の一単語しか口から出てくることがない私にとって、その繊細な言葉の幅広さはつい聞き入ってしまうものがあります。今日はまず、食事に合う酸しっかりめのものからいただくことに。久しぶりのおいしいお酒との再会に束の間の感動を噛み締めていると、むちむち蒸し春巻きがついに目の前に登場です。これも少し変わっていて、一口サイズになった春巻きをサニーレタスで包んでいただくというもの。京都の中華の名店、「大鵬」で働かれていたこともあるという店主の作る春巻きはパクチーなどの香草ものっていてちびちび飲める、最高のアテです。お酒を飲みにくるとこういうのがなんとも嬉しい。

3杯目のワインを頼む頃には常連のお客さん、海外のお客さんで店内は賑わい、楕円型のカウンターの構造も助けて、みんなの顔を見ながら時には言葉を交わし、仲間のようにお酒を味わいます。
この建物について聞いてみると、バブルの時代に建てられたもので、お店も何代か変わっているのだとか。贅沢な空間にも納得です。このカウンターだけは変わらずに受け継がれてきたそうで、ここを囲んでいろんな人たちがいろんなお酒を飲みながらそれぞれの夜を過ごしてきたのだなあと、なぜか私の想像の絵には火星人もちゃっかり座っていました。
時間も時代も一体となったような空間で、一夜限りの仲間たちと美味しいお酒を飲み交わす。当分はまたお酒と仲良くしようと心に決めて、冷たい風の吹く地上に帰る真夜中でした。
BAR_BAGLIORE
住所:京都市上京区俵屋町463-5 エルゴB1
営業時間16:00~22:00
定休日:木曜&不定休
アクセス:京阪「神宮丸田町駅」より徒歩2分
神宮丸田町「BAR_BAGLIORE」