京都「いいBARに出会いなさい」

祇園四条「d’or」

「京の底冷え」とわざわざ銘打って謳われるここ京都にも、春の気配を感じる日々がちらほらとやってきています。残された冬を取りこぼさぬよう、できるだけ薄着で過ごす今日この頃(そんなのは多分私だけ)。そんな2月に紹介したい今回のBARは「フランス料理店d'or」さんです。

私にとって紹介するのがなんだか躊躇われる、できれば内緒にしておきたいほど大好きなこのお店は京都の花街、祇園と宮川町のちょうど真ん中に位置するフランス料理店。芸舞妓さんや花街に訪れる旦那衆などの食通に愛される格別の存在として、開店当初から一目置かれています。コースやアラカルトのメニューの充実はもちろんのこと、遅がけから集えるワインバーであることも大きな魅力のひとつです。そんなd'orさんに久々の訪問で愉快な夜のひとときを過ごした報告です。

ボブさんとみょうけんさん

大理石の広いカウンターと2階のテーブル席、そして最近改装されて新たにできたスタンドの席からなる店内は、平日のこの日も密かに賑わいの真っ最中。「金髪天パ」がトレードマークの店長ボブさん(なぜだかわかりませんが、そういうあだ名です)と、その相棒の若きソムリエみょうけんさんが今日もピカピカの厨房から快活に迎えてくれました。まず一杯目は白ワインから。個性的なキャラクターでなぜか憎めないソムリエ、みょうけんさんが得意げにワインの説明をしてくれるのを、お客さんとボブさん、お店が一体となって見守るこの空間があったかい。底抜けの明るさで数々のイレギュラーやミラクルを生み出す彼の成長を私も見守ってきた一人として、同世代が祇園という場所で活躍する姿は感慨深いものがあります。すっかりこのお店の看板ソムリエといっても過言ではありません。最近では人気メニューのクレープも彼が焼くようになったのだとか! ではでは、とチョコレートのクレープを焼いてもらうことにしました。いかにも職人、という真面目な顔つきで焼いてくれています。

妥協のない仕事

ワインに明るくない私はお店に置かれているこだわり抜かれた豊富なその数々や、フランス料理のことを悔しくも語ることはできませんが、何を口にしてもため息の出るほど美味しいこと、その絶対的な安心感が全てと言わせてほしい。おしゃれな店内やお料理の美しいビジュアル、といった見かけだけでなく中身の伴った職人技、決して妥協のない仕事ぶりはあちこちでささやかれる評判によって証明されています。

と、そんなことを考えてしみじみしていると目の前に焼きたてのクレープ。2杯目にお願いした好物、オレンジワインと一緒にいただきます。遅い時間に頬張るこの重量のデザートはなかなかの背徳感。そんな気持ちを拭うように酸味のほどよいオレンジワインが私を助けます。そう、遅がけからも来店の絶えないd’orさんではワインと共に、こうして本格的なスイーツがいただけるのが嬉しいところ。というのも、ボブさんもみょうけんさんも元々はパティシエさんです。こんなにも全ての「上質」が揃っている贅沢なBAR、なかなかありません。数々の一流の飲食店が軒を連ねるこのあたりで唯一の存在感を放つ秘訣がお分かりいただけたでしょうか。

一見なんとも緊張感のある立地に物怖じしてしまいますが、大丈夫。扉を開ければ愉快なソムリエさんと、その横で優しく導く店長がどーんと迎えてくれます。そして、若きソムリエの成長を追うのにもまだ間に合うはず。人間味あふれるお二人の掛け合いもこっそり楽しみにして、美味しい夜のひとときを!

d'or

住所:東山区大和大路通四条下ル3丁目博多町63-2
営業時間:14:00~23:00
定休日:不定休
アクセス:京阪「祇園四条駅」から徒歩5分


京都「いいBARに出会いなさい」

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