京都ナポリタンリップ

喫茶文化を象徴するフード、ナポリタン。
ナポリタンを提供する京都の喫茶店にインタビューします。
味のこだわりやその店の歴史、
京都のお昼の参考になるような情報をお届けします。
たぶん、読み終えたらナポリタンの口になるはず。

ナポリタンリップ#01京都『イノダコーヒ本店』
ナポリタンの発祥?イノダコーヒにて京都の老舗喫茶のナポリタンを

京都で80年の歴史を重ねる老舗喫茶、イノダコーヒ。
ホテルのような丁寧な接客と、時を経ても変わらぬ佇まいで、京都の喫茶文化を語る上で欠かせない存在です。
そんなイノダコーヒで提供されているのは、喫茶店の定番ナポリタンではなく、「イタリアン」。
その名に込められた思いや、味へのこだわりについて、お話を伺いました。
ーイノダコーヒがナポリタンの発祥だとお聞きしましたが、それは本当でしょうか?
いいえ、発祥ではないんです。
ナポリタンは横浜のホテルニューグランドが発祥とされています。
戦後、進駐軍の兵士がケチャップだけで味付けしたスパゲッティを食べていたのを見て、当時の料理長が、本格的なトマトソースにハムやピーマンなどを加えてアレンジしたのが始まりです。その料理が「スパゲッティーナポリタン」と名付けられました。

その後、喫茶文化の広がりとともに全国に広まり、私たちが「イタリアン」を提供し始めた頃には、他の喫茶店でもナポリタンは提供されていましたね。
ーナポリタンではなく”イタリアン”と呼ばれているのは、なぜでしょうか?
うちは作り方がちょっと違うんですよ。
ケチャップを使ってないんです。だから名前もイタリアン。
ケチャップを使ってないというところに、イノダコーヒらしさを出すためにイタリアンという名前をつけたと聞いています。

もともとうちは輸入食品業をやっていて、その時に缶詰のスープ類も取り扱ってたんですね。
他との差別化を図るために、その中のトマトスープ(ピューレのようなもの)を使ってイタリアンを作ったのが始まりです。
やってみたら「意外と合うやん」となって、今に至ります。
その後、関西の方でも鉄板で出すナポリタンに「イタリアン」や「鉄板イタリアーノ」と名前をつけて、差別化を図ったとも言われています。
イタリアン/ ¥1,130(税込)(2025.6月時点)
ーイノダコーヒはお客様の目の前でイタリアンの蓋を開けるという演出が印象的ですが、それは創業から続けてこられたものなのでしょうか?
はい、イタリアンが冷めないように蓋をして提供し、お客様の前で開けたときに立ちのぼる湯気と香りを楽しんでもらいたいという思いから始まりました。
創業者の猪田七郎は「喫茶店であってもホテルのサービスに負けるな」と常々言っておりまして、ホテルのような感動を味わってもらうための工夫として、銀皿に乗せて、目の前で蓋を開けるというスタイルを取り入れたんです。当時のホテルでは銀食器がよく使われていて、それが一種の“おもてなし”や“特別感”の象徴でもあったんですね。そういった流れを汲んで、今も銀食器を使っています。
ーイタリアンを作るうえで大切なポイントや、こだわりを教えてください。
シンプルなのが特徴ですね。誰が食べても美味しく食べられて、トマトが苦手なお子さんでも食べやすい味になっています。
2.2mmの太いスパゲティに、玉ねぎ・ハム・ピーマン・マッシュルームのシンプルな具材と濃厚なトマトソースを合わせています。麺はゆがいてすぐ使うんじゃなくて、一晩寝かせるんです。そうすることで余分な水分が抜けて、モチモチした食感になります。
トマトソースも以前輸入していたものを国内で再現してもらったり、ハムも塩漬けや燻製の時間を指定して作ってもらったりと、細かい部分にこだわっています。
インタビュアーによる味の感想
ナポリタンと聞いて想像するケチャップ味のスパゲティではなく、トマトの味がしっかりしたナポリタン、ではなくイタリアンです。
モッチモチの太い麺がトマトソースとしっかり絡んでます。
トマトソースはすっぱすぎず甘すぎず、好みで粉チーズとタバスコを好きなだけかけれるのも良い点です。
存在感のあるこだわりのハムが、間違いなくこのイタリアンを支えています。
今日のリップ
イノダコーヒ本店
住所:〒604-8118 京都市中京区堺町通り三条下る道祐町140番地
営業時間:7:00~18:00(LO 17:30)
定休日 : 年中無休
アクセス:京都市営地下鉄烏丸線・東西線 烏丸御池駅下車 徒歩約5分
電話番号:075-221-0507
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