京都暮らしプラス・ワン ♯05源金吉印 八木庖丁店4代目・八木 紫帆さん

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食、器、服、アート、そしてサブカルチャーまで、良質なプロダクトや文化が生まれ、集まる京都。
そんな京都のエッセンスを暮らしにプラスすることで、毎日はもっと豊かになる。
様々な分野で活躍する京都の人々に、自分の“プラスワン”をお聞きします。

赤・黄・緑のカラフルなアーケードの下、決して広くはない道幅の通りにひしめき合うのは、鮮魚や漬物、おばんざいなど“食”にまつわる商店ばかり。店先から呼び込む声をくぐりながら、歩みを進めるだけでなんだかワクワクしてきます。そんな活気溢れる錦市場は、近年観光スポットとしても人気ですが、地元の人や料理人たちも通う“京都の台所”でもあります。その料理人たちの右腕となる包丁を取り扱うのが、錦市場のそばにのれんを掲げる八木包丁店。迎えてくれるのは、4代目・八木紫帆さんです。

江戸時代から続く老舗を継ぐと決めた二十代


八木包丁店のルーツは江戸時代後期。丹波亀山藩(現在の京都府亀岡市)藩主・松平公の御用鍛治だった丹波八木の源金吉が、明治元年の廃刀令を機に料理包丁や生活道具の刃物の製造業に転身したのがはじまりです。明治8年には、京都御苑の堺町御門から延びる堺町通りに店を構えたことからも、その技術が高く評価されていたことが分かります。

「ほんまはまったく違う仕事を目指して英語を勉強していたんですが、留学中に日本文化が海外から注目されていることを体感し、その大切さに気づきました。その後、自分が進む道を改めて考えていた時に、祖母のお店を継ぐ人がいないという話になり、それほど迷うこともなく『それなら私が継ぐわ』と。大好きな祖母の店ということもありますが、今から考えると、若かったのでちょっと気軽に飛び込んだ感じですね(笑)」2013年、紫帆さんが20歳のことでした。

料理の楽しさを教えてくれる道具たち


錦市場から堺町通りに入ると、途端に喧騒が途切れ「この先で知る人ぞ知る店に出会えるのでは」という期待が高まります。それにしっかり応えてくれるのが、ガラス扉の向こうに商品をズラリと並べる八木包丁店。

「3代目である祖母の代で店を畳む予定でしたが、私が継ぐことを決めたので、老朽化していた店舗をリニューアルしました。以前は商品が所狭しと並んでいて、プロさん(料理人)は来てくれはるんですけど、一般の方はちょっと入りにくい雰囲気だったんです。今回、明るい空間に商品を見やすく並べたことで、一般の方も来てくれはるようになりました」。

広々とした空間に、開業当時から大切に掲げている看板や、代々愛用してきた引き出しなどは残しつつ、包丁や銅製鍋から最新の便利グッズまで、様々な料理道具が整然と並ぶ様子は、まるで料理道具博物館のよう。職人が手がける道具の機能美には、普段あまり料理をしない人でさえ見入ってしまう魅力があります。

店の看板商品である包丁の品揃えは、家庭用からプロ用のものまで50種以上。現在すべての包丁は、その技術の高さで世界中から注目されている、大阪・堺の職人が手がけています。「4代目といっても、私はまだまだ修行の身。一般のお客様には説明できても、プロさんには逆に『こんな時に使うんやで』と教えてもらうこともよくあります」

包丁以外の料理道具では、銅製のやかん、アルミ製の雪平鍋や寸胴鍋などがサイズも幅広く展開されているので、キッチンの広さや用途に合わせて選べるのが便利です。「お客様に説明できないといけないので、自分もお店のものを色々試しています。先日は底の浅い一人用の銅製パンでアヒージョを作ってみました。グラタンにもいい大きさで、やはり実際に使ってこそ提案できる用途の幅が広がって、私自身も楽しいです」

お気に入りはずっと大切に使い続けます

「私が初めて化粧をし出した頃、母に買ってもらったのが『よーじや』さんの化粧筆。色々使ってみましたが、私はやっぱりこれなんです。筆の種類がたくさんあり、質感も好み。私の目の幅に合っていて塗りやすいんですよね。

もう一つ、使い続けているのがうちのお店でも一番人気のダマスカス錦包丁と、ペティナイフ。ダマスカス包丁は、V金10号という上質のダマスカス鋼材を、職人さんが33回重ねて鍛えた三徳包丁です。刃紋と槌目の美しさ、ローズウッドの柄に高級感を感じます。最近は自分で研ぐ人も少ないので、丈夫で、鋭い切れ味が長持ちするという点も人気がある理由です」

おろし金の柄に彫られた「紫帆」という文字は、ご自身で手がけられたもの。包丁などには店名や名前を彫ることができ、すべて紫帆さんが担当します。「お持ち頂いたら包丁も研ぎますし、おろし金が使いにくくなったら、また歯を立て直すので、いつまでも使っていただけるんですよ」

そして1年ほど前から愛用しているのが、銅製のチロリ。経年変化による表面のシミが味わい深く、チロリを愛でながらお酒も進みそうです。「磨くとまたきれいになりますが、あえて磨かず変化を楽しむ方もいます。日本酒が好きなので、チロリに冷やの日本酒を注ぎ、清水焼のおちょこでいただく時間は幸せですね。華やかなおちょこは友人からの贈り物で、とても気に入っています。京都のお酒も大好きで、伏見の純米酒、月の桂の “柳”や、京都北部の蔵元・羽田酒造さんの“六友(りくゆう)”は特に好みです」

お酒好きの紫帆さんがお気に入りのお店は、目と鼻の先にある錦市場の昆布屋さんや、豆菓子が並ぶ「錦むらさき」。「錦市場を越えて少し北上したところにある『京都八百一本館』もよく行きます。元々八百屋さんで、ビル一棟にこだわりの野菜や食材が揃うスーパー、パン屋さん、レストランが入っていて楽しいですよ。ちなみに祖母は、錦市場の鮮魚店『錦大丸』さんでお魚を買って、別のお店で焼いてもらうんです。京都の人は家で魚を焼かず、お店で焼いてもらう人も多いんですよ。美味しく焼いてもらえますから」
美味しいものを追求する紫帆さんが、はんなりとした話し方で説明してくれる料理道具たち。機能美にうっとりしながら調理する時間が、料理をさらに美味しくしてくれるに違いありません。

源金吉印 八木庖丁店4代目
八木 紫帆さん

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オンラインショップ:https://yagihouchou.theshop.jp

 
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