01 東伏見で稲荷神社と街をめぐる旅

 

京都の「伏見稲荷大社」といえば、1300年以上の歴史があり、全国に3万以上ある稲荷神社の総本宮。境内全域に並ぶ朱塗りの“千本鳥居”でもおなじみですね。関東のお稲荷様とも呼ばれる「東伏見稲荷神社」が、西東京市にあるのをご存知でしょうか。

最寄駅は西武新宿線の「東伏見駅」。開業当時は「上保谷」の名が付いていましたが、1929(昭和4)年、東伏見稲荷神社の創建をきっかけに駅名が変更されました。名前の由来は文字通り、伏見稲荷大社の東に位置することから。やがて、町名整理が行われた1966(昭和41)年には一帯の地名も“東伏見”とされました。

駅から神社までは徒歩で15分ほど。少し距離はありますが、ところどころに建てられた大きな鳥居が目印になるから、迷うことはありません。

到着しました! こちらの大鳥居をくぐり、階段を登ると神門があります。東伏見稲荷神社は、関東地域で暮らす稲荷信仰信者の熱い要望があったことから、伏見稲荷大社の協力によって創建されました。宇迦御魂大神(うがのみたまのおおかみ)、佐田彦大神(さだひこのおおかみ)、大宮能売大神(おおみやのめのおおかみ)の三柱を総称して「東伏見稲荷大神」と呼びます。ご利益は、五穀豊穣に商売繁盛、家内安全、良縁祈願……そんなに欲張っていいの!?と思ってしまいますが、願う人の心に寄り添ってくれる神様なんだとか。

朱色がまぶしい神門には、五穀豊穣を祈る御神紋「抱き稲の紋」が掲げられています。こちら、京都の伏見稲荷大社の抱き稲の紋と細部に違いがあるので、その違いを探してみてはいかがでしょう。

青空に映える朱色の拝殿は、「新東京百景」のひとつにも数えられているそう。こちらでご挨拶をしたら、裏側に回って“お塚”を参拝しましょう。

京都の伏見稲荷大社の稲荷山(通称“お山”)を模してつくられたというお塚には、小さな鳥居がずらりと並びます。お塚を進んでいくと出合う多くの境内社には、それぞれにご神徳があるといいます。

稲荷神社といえば欠かせないのが、稲荷大神のつかいとされている狐。神門でも二体の狐の像が出迎えてくれましたが、お塚のそれぞれのお社にも大小さまざまな狐たちが鎮座されています。よく見るとそれぞれ表情が豊かで、玉や鍵、巻物など口にくわえているものが違ったり、小狐と一緒にいるものも。京都の伏見稲荷大社と同様、狐たちの様子を眺めながら歩くだけでも楽しいです。

参拝を終え、社務所で御朱印とお守りを受けます。こちらは御朱印。初穂料500円で書き置きしたものをいただくことができます。シンプルながら、伸びやかで美しい文字に感動。マイ御朱印帳を持参して貼り付けましょう。

多種多様なお守りの中でも、幅広く求める人が多いのは昔ながらの「東伏見大神御守」。

一方で自転車の絵が刺繍された交通安全のお守りはサイクリストたちに人気を集めているそうです。

こちらは毎年、元旦から初午、二の午の日まで受けることができる「しるしの杉」。京都で育った杉の葉が青々としています。付けられているお面は、御祭神のひとり「大宮能売大神」のお顔。ちなみに、京都のものはお面の縁が金色だそう。

参拝の後は、参道で寄り道も。「中野鰹節店」は1961(昭和36)年から続く老舗の鰹節屋さん。店頭では最高級とされる枕崎産の本枯節をはじめ、昆布などの乾物、駄菓子も売られています。店頭で「いらっしゃいませ」と声をかけてくれたお母さんの笑顔に癒されます。

 

駅前にある「ふしみだんご」は、二代続く老舗の和菓子屋さん。おだんごをはじめ、店頭に並ぶお菓子はもちろん手づくりです。名物は、店名にもなっているふしみだんご。もちもちのおだんごにたっぷりときな粉をまぶしたもので、ほんのり塩が利いて後を引くおいしさです。

取材で訪れたのは冬の終わりの平日。人は少なく、穏やかではありましたが、神社への参拝者が絶えることはありませんでした。聞けば、毎日同じ時刻にお参りに来る方や、ジョギングルートに組み込んでいる方も多いそう。この土地で暮らす人にとって、なくてはならない存在なんですね。

“お稲荷さん”が見守る東伏見の街へ、ぜひ足を運んでみてください。

 

 

東伏見稲荷神社

東京都西東京市東伏見1-5-38

http://www.higashifushimi-inari.jp/