京都100年かるた

京都「本家 船はしや」
三条大橋のたもと、優しい味の“五色豆”

やさしいおかし

三条大橋のたもと。京都に来れば一度は通ったことがある場所に、船はしやは明治38年より店を構える。棚に並ぶ大きなガラス瓶には沢山のお菓子が詰まっていて、急ぎ足の大人もひっそり目をきらきらさせているのを私は知っている。看板商品の五色豆は、えんどう豆と砂糖のみの優しい味。ぼこぼこした手触りと、口に入れた時の感覚が、どんな年代にもうけ続ける。

つくる時間

船はしやの楽しさは、いろいろなお菓子を選んで詰め合わせができるところにある。お店の人とお話しながら、自分好みにカスタムしていく時間は、十二分に価値がある。皆が過ぎ去っていく橋のたもとで、ひとり足を止めてお菓子を選ぶその状況さえも、これがなかなか味わいたっぷりなのだ。

色の思い出

そういえば五色豆は、千利休も食したらしい。白、青、赤、黄、茶、の五色には、それぞれの味と意味がある。利休も「侘び」というとてつもなく抽象度の高い美的感覚をコンセプトの中央におき、ブレなくプロデュースしていった人だ。「意識」などの目には見えないものを敏感に感じとった人だから、五色豆を食べたときにも、頭の中はさまざまな風景や思いが巡ってたのかもしれない。今も昔も私たちの目と口を楽しませてくれる五色豆、これからもお世話になります。

本家 船はしや

場所:〒604-8004 京都府京都市中京区中島町112
営業時間:10:00〜20:00

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