ナポリタンリップ#17京都・烏丸六角通沿いでナポリタンと共に浸るノスタルジー

人通りの多い烏丸の街を曲がった先に現れるのは、青い瓦屋根と歴史を感じられる木堀りの看板。レトロで重厚な雰囲気で綴られた文字は「珈琲 蔦家」。アニメ「有頂天家族」に登場し聖地となっている喫茶店です。
もともとはマスターとその奥様が営まれていた個人店を、ご縁をきっかけに株式会社さくらさんが引き継ぎ、現在も大切にその味と想いを受け継ぎながら営業されています。
今回は担当の塩崎さんに、看板メニューであるナポリタンと、このお店に込められた想いについてお伺いしてきました。
ー珈琲 蔦家という店名の由来は何ですか?
元々のマスターのお母さんの名前が蔦子さんというお名前で、そこから蔦という字をとっています。由来がそのお母さんの家のようなお店にしたいっていうところから来​てい​て。私たちが引き継いでからは、あの蔦の葉があるじゃないですか。その蔦には伸びていく、成長していくという意味があるんです。蔦家を拠点として蔦の葉みたいにどんどんお店を盛り上げていく、大きくしていく、その起点。純喫茶の文化が強い京都という街で、ここでお店の土台を作って、受け継いでいきたいなという思いがあって。それで蔦家というお店を看板ごと引き継がせていただいています。
ーマスターの家族思いの気持ちと皆さんの喫茶店文化を残したい気持ち、どちらも素敵な意味ですね。
やっぱりこういう昔ながらの喫茶店ってマスターの思いであったり、あとはお客様の思いであったり、あとは古き良き昔ながらの伝統とか歴史とか。そういうのを店内に入っただけで感じられるような空間が非常に魅力的だなと思います。そういう空間とかを残していきたいんです。
クラシカルな店内に並ぶ圧巻のティーカップ
ーカウンターにずらりと並んだティーカップはどう集められたのですか?
これは前のマスターが全国から集めてきた感じで。並べたカップはお客様のご様子や雰囲気に合わせて、最適なカップで珈琲をお届けしたいなという気持ちから始めたんです。実際に選んでいただいてそのカップでコーヒーをお出しすることも、お店側からイメージに合うものを選ぶことも可能です。
ーお店の創業と受け継がれてからの年数はどれくらいでしょうか。
1986年創業なので、今年で40年。丁度その頃は煙草が吸えて珈琲が飲める、そんな喫茶店が一番多い時期だったので、その時流に合わせて蔦家も創業したという経緯です。前のマスターから引き継いだのは2024年の10月なので1年10ヶ月くらいですね。
ー期間限定ドリンクはどなたがお考えになってますか。
特に担当とかを決めず皆で作っています。始めたのは私達が引き継いでからで、マスターの頃はドリップコーヒーに力を入れていたのですが、それも残しつつ新しいことも積極的にやっていこうっていう思いもあります。お客様に今日はこういうのやっているんだね、みたいに言ってもらえると我々も嬉しいので。
ーこのあたりは烏丸という繁華街ですが、客層や人気のメニューについて教えてください。
客層はもう年代問わずですね。煙草が吸えるお店なので大人の方、20歳以上の大学生の方や、逆にお年を召したご夫婦や、あとは奥様方がちょっと珈琲を飲みながらお喋りしたり。本当に年代問わず色々な方にお越しいただけるお店になってます。観光目的で来られた海外の観光客の方も来られます。
人気メニューは、ドリンクだとやっぱりそのマスターからずっと続けているブレンドコーヒーですね。それは看板商品みたいな形で、固定客、常連のお客様で頼まれる方が多いですし。冷めても美味しい珈琲、とマスターもずっと口癖のように言っていた、苦味と酸味のバランスが一番整ってる珈琲という感じです。
あとは引き継いでから販売させていただいているプリンは珈琲との相性が非常に良くて、セットで頼まれる方も多いです。卵は当店限定の受注で、ストレスのないように平飼いした鶏の卵だから、すごく新鮮で甘みが増すんです。そこに京都の和三盆というお砂糖を使用しています。
ー喫茶店やカフェの多い地域でこうやって長くお店を続けられている秘訣はなんですか。
蔦家に来られるお客様ってやっぱり何かしら目的を持って来てくださるんですよね。で、一番多いのがこういう昔ながらの寛げる空間、居場所を求めている方かなって。あとは非常にスタッフとの距離が近いので、何かお喋りしたいなという方も多いです。そういう空間の見えない価値を提供し続けたいなと思います。
昔ながらのナポリタン/ ¥800(2026年7月現在)※ドリンクとの注文でナポリタン¥700
ーナポリタンの生まれたきっかけについて教えてください。
デザートとか軽食とかはある中でがっつり食べられるようなメニューが無かったので欲しいなというのがきっかけです。だから麺も本当にうどんみたいな(笑)あえていわゆる太麺の、もちもちしてる食感にしていて。しっかりと食べ応えがあるナポリタン、歯ごたえの感じられるナポリタンになっています。
ー具材やソースについて教えてください。
麺だけでなく、具材もしっかり足しているんです。それでより食感とか食べ応えを出しています。ピーマン、玉ねぎ、ベーコン、マッシュルームですね。ソースは元々ベースのソースがあって、そこにケチャップとダイストマトを更に上から足してより濃さを出してます。
ー珈琲と共にとかそう言った感じで相性のいいドリンクなどありますか。
特になくて、本当にお客様のお好みに合わせてお好きなドリンクと一緒にお召し上がりいただければという感じです。ナポリタンを召し上がられた後に、ほっと一息で珈琲を飲む方とかもいらっしゃいます。
ー確かにどのドリンクとも喧嘩しなさそうな美味しさがあります。この銀食器に乗っているのもいかにも純喫茶という感じで素敵ですね。食器類も受け継がれたのですか?
銀食器はナポリタンをお出しするタイミングで一緒に考えまして。イメージの中で銀食器だなというのがあったのと、あと見た目の清潔感というんですかね。荘厳感といいますか。そういうのも感じられるかなって思いまして。
ーこちらのナポリタン、数量限定との情報も拝見したのですが。
今はもう限定をなくしていつでもお召し上がりいただけるようにしています。
ーまたお伺いした際には気軽に注文できるのですね。限定だった頃のお話をお伺いしたいです。
1日8食限定でしたね。保存の兼ね合いで。お客様のお声が多かったので、ニーズに合わせてもっと作ろうと、4、5ヶ月前ぐらいに限定をなくしました。
朝はモーニングをお出ししているので、お昼に売り切れる感じでしたね。お昼休みの時にバッとナポリタンをお召し上がりに来られる方が多いので、お昼過ぎくらいに来られる方はもうナポリタン無いですみたいなものが心苦しいなというところがありました。
ーやっぱりこの席に座られる方は有頂天家族のファンの方が多いのでしょうか?
(なんとアニメ「有頂天家族」第1クール第9話で主要キャラクター達がお喋りしたお席にご案内していただきました…!)遠方から来られた方、観光とかに来られてふらっと立ち寄った方とかが多いですね。
インタビュアーによる味の感想
銀食器にこんもりと美しく盛り付けられたナポリタン。一口食べるとケチャップの酸味とトマトの甘味、そしてベースのソースであろう得も言われぬ奥深い風味が広がります。ベースの詳細は秘密とのことでしたが、拘りや材料を自分で想像するのも楽しみ方の一つ。スタッフ皆さんで流す音楽を決めているというレコードの音色に包まれて、じっくりと味わいたい逸品です。
蔦には「永遠の愛」という花言葉があります。マスターからお母様への愛情を、皆さんの純喫茶文化への愛情で未来に繋ぐ。こうして大切に紡がれた思いは、これからも永く人々の居場所となり続けるのだと思いました。
今日のリップ
住所:〒604-8147 京都府京都市中京区東洞院六角御射山町260 ロイヤルプラザ 1F
営業時間:9:00〜18:00
定休日:なし(不定休)
アクセス:烏丸駅(阪急)/四条駅(地下鉄)徒歩5分
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