書店主のおすすめ「京都本」

京都の古書店「佐々木竹苞書楼」のおすすめ本3選|京旅行の際に読みたい本

本の壁がそびえ立つ、和漢洋専門の古書店

歴史の舞台に度々登場する寺町通り沿い、本能寺の斜め向かいに1751年創業の佐々木竹苞書楼は店を構えています。明治期の町屋造りで重厚感あるお店の入り口は、積み上げられた和綴じの古本が目立ちます。
中に入ると、本の壁ともいうべき壮観な古書と歴史を感じる本のにおいに囲まれます。 品ぞろえのほとんどが和綴じ本で、古文書や古典籍といったものを扱う古書店です。

店主の佐々木惣四朗さんは代々惣四朗の名を受け継ぐ六代目で、古書の壁を背 に店番を務められる姿は、まさに京都の歴史の証人といった風格があります。
お店の中に鉄製の椅子があるのですが、この椅子は川端康成をはじめ京都にゆか りのある偉人の数々が直に座った非常に貴重なものです。戦時中の金属供出から逃れるために全体を木目に塗装したこの鉄椅子は、お店の長い歴史を物語る存在です。

佐々木さんおすすめの京都本を3冊をご紹介します。

京都に暮らしながら読みたい本

『都名所図会』秋里籬島・著

都名所図絵は、前回訪れた山崎書店さんと同じチョイスです。それだけこの本が京都を 表す上で欠かすことの出来ない存在と言える気がします。今回お店の在庫として見せて いただいた都名所図会は全 6 巻。11 冊全てが揃った貴重な物でした。一冊一冊の厚 さは 2 センチ程だけれども、11 冊全て揃うと何か辞書のような重厚感が出てくる書物です。
都名所図会の中には、今では無くなってしまった京都大仏殿や三条大橋の旅籠街など の版画が多数あります。いずれも描かれた当時は京都を代表する名所で、図会の中で も餅屋や土産物屋といった屋台が描かれており賑わいを感じます。そんな都名所図会ですが、発行されたのが 1780 年なのに対してこの佐々木竹苞書楼の創業は1751年。ですからなんと書店の方が先輩になるそうです。

京都へ旅行に行く前に読みたい本

『都の魁』石田有年・著

この本は明治初期の京都にある商店を紹介した図録で、明治期版の商店ガイドブックと もいえます。当時は広告としての意味もあったそうで、規模の大きな商店は多くの広告料 を払うことで店構えの版画が付き、見開きに大きく掲載してもらうことができました。「魁」 は「さきがけ」と読み、先頭を行く、大きくて優れている、という意味があることからも、出版元は大商店を特に注目させたのでしょう。店主の佐々木さんによると、この本を購入する人の中には意外にも京都に店を構える老 舗のご主人方もいらっしゃるそうです。というのもこの本には店構えを映した版画が多く 掲載されていて、老舗のご主人方は自分の店が明治より前からあるという事を絵付きで 証明するものとして気に入って購入されるようです。それに明治のころはまだほとんど写 真が広まっていなかったので、当時の店構えが版画として記録されていること自体、価値あるポイントです。

京都には100年以上の老舗がたくさんあるので、当然ながらこの本に載っている店の中 にも上で述べたような現在営業されている老舗がたくさんあります。この本で下調べをしてから京都の町で老舗巡りをするのはいかがでしょう。

京都の旅行中に読みたい本

『京都順覧記』池田東籬・著

今からおよそ200年前、天保の時代に発行されたこの和綴じ本は手帳サイズの京都紹介 本です。全3冊で1冊目は京都の大名屋敷について、住所や各大名の石高などとともに掲 載されています。2冊目は京都の名所である社寺仏閣について、近隣の宇治や近江の一 部まで広く紹介されています。そして3冊目は京都の町名図鑑ともいえるもので、京都の通り名と町名が一覧になって掲載されています。

いずれの本も京都町について紹介するという点で、先に上げた「都の魁」と同じガイドブック的要素が強い本ですが、加えてこの本には、ガイドブックであることを決定的に印象づ ける内容があります。それは、京都の社寺仏閣を巡るモデルコースが掲載されているということです。2冊目の後半部分に一日で歩いて回れるモデルコースが、崩し字のみで計6日分載っています。崩し字といってもなんとか読めなくもないので、200年前のおすすめ観光 コースとはいったいどんものなのか気になった方は是非読まれることをお勧めします。

佐々木竹苞書楼

住所:〒604-8091 京都府京都市中京区下本能寺前町511
アクセス:京都市営バス 河原町三条駅から徒歩3分
営業時間:10:00〜18:00
定休日:木曜日
電話番号:075-231-2977


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