書店主のおすすめ「京都本」

京都一乗寺の古書店「紫陽書院」店主がおすすめする京都の本3選

美書を手にいれるならここ 知る人ぞ知る古書店

叡山電鉄茶山駅から歩いて2分。一乗寺の閑静な住宅地の中にあるのが紫陽書院です。古本店の存在を、古書買入の小さな看板で知らせてくれます。
マンションの1階にあるお店に入ると人一人が通れる古書の森が広がります。店内の本は美術書から漢籍、古典籍までとにかく普通の本屋にはおいていないものばかり。そしてそれらの本の多くが傷つかないよう丁寧に梱包されています。

店主の鎌倉さんの本に対するやさしさが伝わる店内です。
こだわりぬいたセレクトの数々から蔵書一代の鎌倉さんがおすすめする3冊を紹介します。

京都に暮らしながら読みたい本

『製版術必携』1908年刊 田中孫六・編(¥20,000円 税込)

明治の後期に出版されたこの本は製版術に関する当時の最新情報をまとめた本になります。第一章のアルミニウム版から始まり、石版や銅版など版に用いる材質ごとにそれぞれの章で解説が行われています。
この製版術必携は100年以上前の本という事で非常に貴重な存在であるのですが、それに加えてこの紫陽書院で販売されている製版術必携は表紙が新しく製本しなおされたもので、一見すると新品のように見える一冊です。
ただでさえ貴重な本の製本版でありビニール紙で丁寧に梱包されたこの本は、紫陽書院でしか買い求めることができないかもしれません。
店主こだわりのセレクトが光る一冊です。

京都へ訪れる前に読むべき本

『西陣の史跡 思い出の西陣映画館』1990年刊 田中泰彦・編 (¥3,500円 税込)

西陣の街というと誰もが伝統工芸の西陣織をイメージするのではないでしょうか。かくいう私もこの本を読むまで西陣が映画館の集中する街とは知りませんでした。
この西陣に映画館が集まるようになったのは土地柄と関係があるようです。このあたり一帯はかつて歌舞伎など芝居小屋が集まっていたそうで、娯楽の移り変わりとともにこれらの小屋の多くが映画小屋へと変わっていったという経緯が映画館が集まる理由だそうです。
そんな西陣ですが今ではほとんどの映画館が消滅してしまいました。
今では面影もほとんど残らない映画街としての西陣を知ることで、織物だけでない新たな西陣の一面が見えてくる一冊です。

京都旅行中に読むと染みる本

『cherubs愛らしき天使たち』発行年、編者不明(¥2,000円 税込)

絵画には国を超えて鑑賞する人の心を動かす力があります。
この本は、そんな絵画の力が存分に発揮された一冊です。幼い天使をモチーフにした絵画の数々が収録されるこの本には飛び出し仕掛けをはじめ様々な工夫が施され、見る人を飽きさせません。
まるで美術館そのものを一冊の本に仕立てたかのような完成度を誇ります。他方で、柔らかなまなざしの天使たちからは人間の欲望がそぎ落とされ、絵を見ているだけで何かあたたかな気持ちに包まれていくような感覚を抱きます。
天使の絵画本を集められていた店主の鎌倉さんが勧める最良の一冊がこの本です。皆さんも天使の温かみに心奪われてください。

紫陽書院

住所:〒606-8171 京都府京都市左京区一乗寺西水干町15-2
営業時間:月〜木 10:00~19:00/金〜日 12:00~18:00
定休日:不定休
アクセス:叡山電鉄 茶山駅から5分
電話番号:075-702-1052


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