書店主のおすすめ「京都本」

京都の古書店「赤尾照文堂」のおすすめ本3選|京都に興味がある人のための本

ビルの中の、多彩な木版画が並ぶ古書店

京都市役所前から徒歩5分、中京区榎木町二条通寺町東 大興ビル2階にある「赤尾照文堂」

壁一面には本、部屋には多くの木版画が並び、どれも私たちの興味を引くものばかりでした。多彩な木版画が多く今にも動き出しそうな勢いに圧倒されました。今の私たちが実際に手に取って見るべきものであると感じました。

店主の赤尾さんは、お話していて笑顔で沢山のことを教えてくださるとても優しい方です。木版画を多くの人に伝えたいという気持ちを強く感じ、私たちもより一層興味を持つことが出来ました。

お店の中に置いてあるレジは現在はディスプレイとしてありますが、明治時代頃に海外から取り寄せられたものだと言われており貴重なものが実際に見ることができます。

赤尾さんおすすめの京都本を3冊をご紹介します。

京都に暮らしながら読みたい本

『明治・大正図案集の研究』樋田豊次郎、横溝広子 編

この本は2004年に刊行された、比較的新しい本です。本の最初には明治大正期に作られた絵柄や模様などの図案がたくさん並べられてあるので、カタログのようなデザイン目録として使うことが出来ます。しかし、後半にかけての内容は今から100年に以上も前に産み出された様々な柄の図案を考察したもので、日本のデザインの成り立ちを読みとく歴史本といっても差し支えないものになっています。

そんなこの本は京都との繋がりも深いものがあります。京の都には古くから人や物が集積され、染色や漆器などに見られる美しく繊細な図案が、独自の文化のなかで発展していきました。明治以降もそれらの文化は後世へと受け継がれ、京都高等工芸学校(現在の京都工芸繊維大学)に関西で初めての図案科が設置されるなど様々な関わりがあるのです。この本のなかには京都の図案に特化して考察されている項もあるので、図案より京都に興味がある方にもお勧めできる一冊です。

京都へ旅行に行く前に読みたい本

『若冲畫帖』伊藤若冲 ・作

有名な伊藤若冲は絵画だけでなく版画にも数多くの作品を残しています。その版画作品をまとめたものが若冲畫帖です。この書籍にまとめられている版画は全て拓版画というもので、拓本の技法を版画に応用した若冲が得意とした版画です。今回お店で見せていただいたのは近代以降に再販されたものですが、オリジナルを再現するに当たって、版画の職人が当時の黒い色を再現するのにとても苦労したそうです。若冲が活躍した当時の技術に、今の技術をもってしても追い付くのが難しいということには驚きです。

拓版画のモチーフとなっているのは植物の葉や小さな虫たちなどで、日常にある自然に焦点を当てた内容となっています。若冲の描く動植物と言えば、豪華絢爛な虎や鶏など派手なイメージが多いので、この拓版画は少し意外に感じるかもしれません。少なくとも私は最初にこの拓版画を見たとき若冲の作とは思えませんでした。私のように若冲のイメージが固まっているほど、その驚きは大きいはずです。それでもじっくり見ていくと、身近な動植物が厚手の紙に白と黒のコントラストをはっきりさせて描く植物と可愛いげのある虫たちが、なんとも言えない絶妙なバランスで一枚の紙に収まっていることがだんだんわかってきます。結論、若冲の多様な表現技法が筆の枠を越えることがわかった、そんな一冊です。

京都の旅行中に読みたい本

『京の古本屋』京都モザイク編集部

京都の古本屋さんに紹介していただくなかで、ある意味最適な本かもしれません。それがこの「京の古本屋」です。名前からもわかる通りこの本は、京都の町中にある古本屋さんを一件一件紹介している、いわば京都の古本屋ガイドブックです。刊行は2003年になるので、ガイドブックにするには少し情報が古く、中にはもう閉店してしまっているお店もあるようです。他方でそれは、もう現実にはない情報も載っているという古本の魅力のひとつとして捉えることも出来ます。

この本には各古本屋の品揃えも詳しく書かれています。この本を片手に京都の町を歩きながら古本屋に訪れ、18年前と今の棚の本を比べてみるのもおもしろそうです。もちろん今回インタビューさせていただいた赤尾照文堂さんもこの本で紹介されています。興味がある方は是非訪れてみてはいかがでしょうか。

赤尾照文堂

住所:〒604-0931 京都府京都市中京区榎木町二条通寺町東入97 大興ビル 2階
アクセス:京都市営バス 京都市役所前駅から徒歩5分
営業時間:11:00~18:00
定休日:日曜日
電話番号:075-221-1588


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