書店主のおすすめ「京都本」

京都銀閣寺周辺「あがたの森書房」店主がおすすめする京都の本3選

文化や歴史に浸れる、銀閣寺から目と鼻の先にある古書店

銀閣寺道から徒歩3分の左京区浄土寺西田町に「あがたの森書房」はあります。
主に文化や歴史の中世~近代初期の写本や古文書を取り扱っています。

店主の百瀬さんはとても優しい方でお話される時も分かりやすく本について教えてくださいました。貴重な本も多くぜひ歴史などに興味がある人は利用して欲しいお店です。
百瀬さんおすすめの京都本を3冊ご紹介します。

京都に暮らしながら読みたい本

『新美術海』神坂雪佳監修1905年発行(¥24,000)

明治時代にシリーズ物で刊行され人気を読んだ図案集美術海。その第二シリーズとして作者を変えて刊行されたのがこの新美術海です。当時の図案集は主に友禅など着物の柄の参考として使われていました。
明治後期の発行であるこの本の図柄図案は日本古来の和柄にヨーロッパ風の柄が織り混ざったシックなものが多く、デザイン監督であった神坂雪佳のセンスが遺憾なく発揮されています。発行から100年以上経った現代の視点で見ても優れた図案と言えるこの図案集。テキスタイルの参考としても使える一冊としてお勧めできます。

京都へ訪れる前に読むべき本

『京都勤番中並道中日記』幕末期写 作者不詳(¥300,000)

この本は幕末の動乱が続く京都へ警備要員として東北から派遣された少年の日記です。幕末の血なまぐさい京都での日記とあってさぞかし大変だっただろうにと思いきや、書かれいる内容は京都を満喫する少年の純朴な気持ちが溢れたなんとも面白おかしい日記です。日記の中には第二回目の京都本の記事でお世話になった佐々木竹苞書楼さんへ漢書を買いに行ったという記述もあり、私とこの少年との何か運命的な繋がりを感じてしまいます。もちろん少年の私的な出来事以外に禁門の変や他藩士との競り合いなど緊迫した京都の街の描写も克明に記されていて、幕末の史料として大変に貴重な一冊です。

京都旅行中に読むと染みる本

『歳日珍騒動記』幕末〜明治期写 作者不詳(¥36,000)

この本は幕末から明治にかけての世を騒がせた事件や行事を取り上げた記録集です。禁門の変など政治的な出来事から地震や洪水、流行り病など幅広い内容が文章とイラストで取り上げられています。その中で一際目を引く足が6本生えた獣の描写は、当時実際に目撃されたという妖怪まがいの珍獣です。幕末の乱世は全国的にこのような珍獣の目撃事例があったようで、大阪城の外堀などでこうした生き物が現れたという記述があります。珍しい物好きな方に是非お勧めしたい一冊です。

あがたの森書房

住所:〒606-8417 京都府京都市左京区浄土寺西田町15−6
営業時間:12:00〜18:00
定休日:-
アクセス:銀閣寺道から徒歩3分
電話番号:075-708-2965


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